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2001年 3月 30日 [ トピックス ]

No.074-2:日本にしか いないかも「タテヤママリモ」

富山県立山町をはじめ国内のごく一部に自生している「タテヤママリモ」が、国内だけに生息する日本固有種である可能性が高いことがわかった。一昨年から去年にかけて、ヨーロッパを調査した阿寒マリモ自然誌研究会のメンバーが明らかにしたもの。
毬藻(まりも)と言えば、北海道阿寒湖が有名。湖に浮かぶ神秘的な光景を思い描く人も多いだろう。しかし、富山県内のとある場所にも自生していることはご存知ないのでは? 富山県立山町の民家の池でマリモが確認されたのは昭和62年のこと。なんでも池の水を湧き水から引くようになってから、緑色の丸い藻が生えるようになり、専門家に相談したところマリモであることがわかったそうだ。
「タテヤママリモ」と名づけられたこのマリモ。平成9年に行われたDNA鑑定で、阿寒湖などの「マリモ」とは違う種であることが判明。誰かが持ち込んだものでなく町内のどこかで人知れず自生していたものが地下水を通じて表れたと考えられるようになった。
一昨年と昨年の夏、阿寒マリモ研究会のメンバーが、マリモが多く生育するスウェーデンやアイスランドを訪れ、湖や川に生育するマリモの調査を行った。水質調査やDNA分析の結果、北欧のマリモが阿寒湖の「マリモ」と同種であることがわかったが、タテヤママリモと同じ種は見あたらず、タテヤママリモが日本固有種である可能性が高まった。
同研究会のメンバーのひとり、富山市科学文化センター学芸員の朴木さんは語る「生育地の近くに住んでいながらタテヤママリモを知らない子どもたちもいる。貴重なマリモを保護していくためには、マリモについてだけでなく、周辺の環境全体を知り対策を講じることが必要です。この研究がすすめば、次世代の環境保護にもつながるでしょう。」
小さなマリモの研究から大きな成果が生まれることも期待できそうだ。
参考文献
立山町立山マリモ生育状況調査実行委員会「立山マリモ生育状況調査報告書」

問い合わせ
●富山市科学文化センター
TEL 076-491-2123

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