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2002年 1月 20日 [ トピックス ]

No.086-5:冷水生物水槽でみる富山湾のユニークな魚たち


●ブルーの目に、ピンク色の体をもつザラビクニンの美しさ

 いま話題の富山湾の海洋深層水、特に300メートル以深の日本海固有水の冷水塊で育まれた生物が水族館で展示され、人気を集めている。
 日本海側で最も古い歴史を持つ魚津水族館(魚津市)には“北アルプスの渓流から日本海の深海まで”の魚たちを中心に約500種類集められている。館内の冷水水槽では、富山湾の水深300メートルから1,000メートルの深海に棲息する生物が展示されており、ゲンゲやベニズワイガニなどを間近に観察できるとあって、人気を集めている。
 冷水生物のコーナーは6つの水槽(合計約20トン)に分けられており、常時約20種の生物を観賞できる。水槽の前にやってくると、他のコーナーよりも照明が抑えられ、ひんやりとした印象。出迎えてくれるのは、長い手足を広げたベニズワイガニやズワイガニ、ピンク色の体をもつザラビクニン、オレンジの体が美しいイソギンチャク、大きな体を見せるマダラ・・・。ギョロッとこちらをにらみつけるノロゲンゲや大きな口を開けるアゴゲンゲ、せわしなく手足を動かして泳ぐトヤマエビのユニークな表情にも心が和む。


●冷水を保つ工夫がなされた水槽  

 来館者はいながらにして富山湾の深い場所に棲息する生物に出会い、その多様な姿に心を躍らすことができるわけだが、水族館のスタッフには生物の棲みよい環境を維持するための苦労がある。まず、水温の問題。水族館では魚津沖の水深10メートル地点から海水を取水しているが、冷凍機を使って水温2度、6−7度、8度と冷水生物にあわせて3種の水温まで下げているのだ。また、展示水槽は冷水による結露を防止するため二重ガラスとなっており、水槽の裏側には断熱用の発泡スチロールを吹き付けるなど、いくつもの工夫がなされている。
 そして、展示する生物たちの確保も水族館を悩ませる。地元の漁師にお願いして底引き網などにかかったものを水族館に運ぶわけだが、大漁の網にかかったものは窒息している可能性があるし、体が傷ついているものは比較的長くは生きられず、その見極めが大切なようだ。
  水槽の前にたたずみ、ザラビクニンやベニズワイガニを見ながら、富山湾の深くへと想いを馳せてみたい。




問い合わせ
●魚津水族館
TEL(0765)24-4100
http://www.city.uozu.toyama.jp/suizoku/

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